スペインでオレンジを渡すシーンが描かれた映画『抱かれたい男1位に脅されています』(原作6巻)。
スペインでは、オレンジにどんな意味がある?
『抱かれたい男1位に脅されています(だかいち)』を見て、こんな疑問を持った方も多いはず。
実は、オレンジには素敵な意味があるんですよ。オレンジを渡す描写の真意が掴めると、より一層『だかいち』を楽しむことが可能です!
本記事では、スペインでの「オレンジ」の意味とそのルーツ・映画『抱かれたい男1位に脅されてます(原作6巻)』の感想などをお伝えしてきます。
スペインでの「オレンジ」の意味は『生涯を共にする相手』
スペインでオレンジが象徴するのは「生涯を共にする相手」です。
なぜオレンジが「生涯を共にする相手」を象徴するのか、詳しく解説してきます。
半分の(片割れの)オレンジ=生涯を共にする相手
スペイン語では生涯を共にする相手のことを “Media Naranja” という言い方で表現します。直訳すると「半分のオレンジ」です。
「ひとつとして同じオレンジはなく、切り分けた半分のオレンジは、対になるもう半分のオレンジとだけピッタリくっつく。(一致する片割れはたった一つ)。」ということを示唆しています。
つまり、「片割れのオレンジ=魂のパートナー、生涯愛する伴侶」ということです。直訳すると「半分のオレンジ」ですが、その真意は「二人で一つ」とも捉えられますよね。
「片割れのオレンジ」は恋愛以外にも使われる愛情表現
スペインには「Tú eres mi media naranja.(あなたは私の半分のオレンジだ。)」ということわざがあります。
このことわざは、親しみをこめたカジュアルな愛情表現として広く使われています。「片割れのオレンジ=魂のパートナー」は、なにも恋愛に限った表現ではないんですね。
『抱かれたい男1位に脅されています』のチュン太とトータカは、恋愛だけでなく、俳優業においても唯一無二のパートナーといえます。
二人の関係性は、まさに「片割れのオレンジ」なわけです。
オレンジの花言葉は「花・実・木」の3つから由来している
オレンジの花言葉は、以下のとおりです。
- 純粋
- 愛らしさ
- 美しさ
- 優しさ
- 寛大さ
- 気前の良さ
- 子孫繁栄
この花言葉は「花・実・木」をそれぞれ象徴するものです。オレンジの花言葉の由来を詳しく解説しますね。
オレンジの真っ白な小さい花 ⇒純粋・愛らしさ・美しさ
オレンジには小さくて真っ白な花が咲きます。可憐さを感じる小ささと、清らかさを象徴するような混じりけのない純粋な白色。
そんなオレンジの花の姿に由来して「純粋、愛らしさ、美しさ」の花言葉がつきました。
丸みを帯びてたわわな実 ⇒優しさ
丸みを帯びてたわわに実ったオレンジの果実は、女性のような柔らかさを感じさせます。また、日射しをたっぷり浴びて育ったオレンジ色の実は、女性のような明るさ・温かさに通ずるものがありますよね。
明るく温かみのある、丸みを帯びた柔らかな果実の姿に由来して「優しさ」の花言葉がつきました。
オレンジの木にたくさんの花と実がなる ⇒寛大さ・気前の良さ・子孫繁栄
オレンジの木にはたくさんの花や果実がなります。木全体の大きさや、実入りの良さから「寛大さ・気前の良さ」という花言葉がつけられました。
また、オレンジは花と果実が同時につくため、西洋では「多産」「子孫繁栄」の象徴とされています。結婚式では、オレンジの花を花嫁の髪飾りにする風習があります。
どの花言葉も、花嫁にピッタリで素敵なメッセージですよね!
オレンジから『抱かれたい男1位に脅されています6巻』を深める
『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。~スペイン編~』は、原作の6巻をアニメ化したものです。
原作6巻でオレンジが絡むシーンは4つ。
- 「あの子に渡してもらえるかい、君の手から」と、チュン太の祖父がトータカにオレンジの実を手渡す
- トータカがチュン太にオレンジの実を投げ渡す
- サクロモンテの丘の酒場で、トータカがオレンジの花の髪飾りをもらう
- 「どの花が好き?」と祖父に聞かれ、チュン太が「オレンジの花」と答える
トータカはオレンジの意味を知らないまま、チュン太に渡している感じです。スペイン人の祖父をもつチュン太は、片割れのオレンジの意味も、オレンジの花言葉も知っています。
意味を知っていると、読んだあとに感じるものが異なってきます。さらに『だかいち6巻(スペイン編)』を楽しむために、以下を深堀します。
- 片割れのオレンジのルーツ(起源)
- なぜ、オレンジなのか。他の果実ではダメなのか。
私は深堀したことで、『だかいち』の表現の深さを感じました。愛が深すぎて溺れそうって感じです…!
特に、片割れのオレンジののルーツは、BLのルーツでもあるように思います。ぜひ、最後まで読んで欲しいです。
「片割れのオレンジ」のルーツは古代ギリシャ文学にある
紀元前350年頃、哲学者プラトンが書いた「ザ・バンケット(饗宴)」のストーリーが、「media naranja(半分のオレンジ)」のルーツ(起源)といわれてます。
本書を読むと難しいので、『誰も知らない世界のことわざ』から引用しますね。
アリストファネスは「人間は『男-男』『男-女』『女-女』が1組1人になっていて、あるときゼウス神が人間への怒りからそれらを真っ二つに裂いてしまい、人間は不完全なものになった」と考えました。それ以来、人間は失った「片割れ」を探し求め続けることになりました。そして時には、その努力が¨実り¨(fruitful)につながることもあるのです。引用:エラ・フランシス・サンダース著『誰も知らない世界のことわざ』
より詳しく物語の内容を説明します。
神の怒りをかった人間は真っ二つに切断され不完全に
ギリシャ神話の世界では、原始時代には三つの性(男男、女女、男女)にわかれていたとされています。
二体が背中合わせにつながって、頸(くび)の上には反対方向に向いた同一の二つの顔があったそうです。さらには4本の手足、4つの耳、2つの性器という形態。
古代の人間はとても傲慢な態度だったため、全知全能の神・ゼウスの怒りを買ってしまいます。ゼウスは人間の傲慢な行動を改めるよう、真っ二つに切り落としたのです。
半身となった人間は「じぶんの片割れ(同性・異性)」を探している
真っ二つに切断したものの、顔や手足が不格好なので、見栄えをよくするために整えました。それが今の人間の姿です。
半身になった人間は、不完全な自分を完全なものにするために、「じぶんの片割れ」を探し求めることになります。男男だった者と女女だった者は同性愛者で、男女だった者は異性愛者です。
二体であったもとの自分に戻りたいという欲望は、エロス(エロース)と呼ばれています。エロースとは、古代ギリシア神話に登場する恋心と性愛を司る神のこと。
古代ギリシャの一説は、男性同士が惹かれ合うBLのルーツともいえそうです。
探している相手は魂レベルで繋がるニコイチの存在
スペイン語の “Media Naranja(半分のオレンジ)” とは、生涯をともにする相手を表現したもの。その相手とは、魂レベルで繋がる二人で一つの存在を指しています。
『抱かれたい男1位に脅されています。』の5巻で、トータカがチュン太に「俺と一緒に生きてくれ」と伝えるシーンがあります。
映画(原作6巻)は、「生涯、共に生きる」について、トータカ・チュン太がお互いに答えを出すスペイン旅です。
オレンジの意味やルーツを知ると、付き合うとか、結婚して家庭を築くとか、もうそういう次元を超えているように感じますよね。
『だかいち』で表現されている愛は、肉体的な欲望というよりは精神的な欲望だと思います。
「互いに隔たるものをすべて溶け合わせ、ともに生きる」という形の愛を表現したかったのではないかと、私は思いました。
原人の全体(からだ)は球形だからオレンジで表現される
スペインでのオレンジは魂で繋がる二人に一つの存在を意味する
『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。~スペイン編~』でオレンジが象徴的に描かれています。それは、オレンジが「魂で繋がる一心同体の相手」を意味しているからです。
同性愛者・異性愛者問わず、愛し合うということは、「私」と「あなた」の境界線が交じり合って、同一の個体になることのかなと思いました。だから性別すらも超えるのです。
ただ、物理的に溶け合うことは難しいため、作中ではトータカが「一緒に生きるためには、ずっと一緒のままじゃだめだ」とチュン太に伝えています。
不安から肉体的につながろうとするチュン太に対し、精神的にしっかり繋がろうとするトータカ。愛することの意味を考えさせられました。
精神的な隔たりを溶かし合って、溶け合って一つになっていく。そんな愛のカタチを『だかいち』は表現している作品だと思います。
あなたもぜひ、原作・アニメ・映画とあるので観てくださいね。
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